セルの品質から、市場で動く仕組みまでをつなぐ。
セル品質、一体設計、EMS、試験・保守まで。JESDIが価格だけでなく、実際の市場運用まで見てHOBEを採用する理由を紹介します。
この記事でわかること
- セル・モジュール・ラックという蓄電池の構成
- 複数メーカーからセルを選べることの価値
- BMSとEMSを自社開発するHOBEの強み
- 高圧向け中汽新能セルの品質を確かめる方法
- 設計から市場運用・保守までをつなぐ体制
HOBEの採用理由を理解する
蓄電池は、セルを積み重ねてできている
蓄電所の大きな箱の中には、多数の電池が入っています。その基本単位が「セル」です。一つひとつのセルを電気的につなぎ、扱いやすい単位にまとめたものを「モジュール」と呼びます。さらに複数のモジュールを棚状の枠へ収めたものが「ラック」です。
セルを直列につなぐと電圧を高くでき、並列につなぐと電気を出し入れできる量を増やせます。セルの種類とつなぎ方、モジュールやラックの構成によって、蓄電池全体の容量や出力に関わる条件が決まります。製品によって呼び方や構造には違いがありますが、「セル→モジュール→ラック」と見ると、中身を理解しやすくなります。
さらに、セルの状態を監視・保護するBMS、温度を整える設備、電力を変換するPCS、充放電を管理するEMSなどを組み合わせて、蓄電所で使えるシステムになります。電池を並べることに加え、それぞれを安全に、目的どおりに動かす設計が必要です。

JESDIの視点
プロジェクトに合うセルから選べる
HOBE ENERGYは、複数のセルメーカーからセル単位で調達し、プロジェクトに合うものを選定できます。そのうえで、セルを組み合わせるモジュールとラックの構成、監視・制御を設計します。蓄電池の基本単位までさかのぼって仕様を考えられることが強みです。
例えば、何時間分の電気をためたいのか、どの速さで充放電するのか、置ける広さはどの程度かによって、求める条件は変わります。セルの容量、充放電特性、寿命の試験条件、価格、供給・保証の条件を比べ、設備全体として合う組み合わせを考えます。
JESDIが重視するのは、選択肢が多いことを、案件に合う設計へ結び付けられることです。特定の完成品の仕様を出発点とするだけでなく、セルの選定から運用条件との整合を検討できます。
複数社から調達できるということは、異なるセルを自由に混ぜたり、後からそのまま入れ替えたりできるという意味ではありません。採用する型番と構成ごとに、電気的な条件、制御、冷却、保証を確かめます。
自社開発のBMSで、選んだセルを使いこなす
BMSは「バッテリー・マネジメント・システム」の略で、セルの電圧や温度などを監視し、過充電や過放電を防ぐために電池を管理する仕組みです。良いセルを選んでも、その特性に合わない使い方をすれば、性能や寿命を十分に生かせません。
HOBEはBMSとEMSを自社で開発しています。セルの選定、モジュール・ラックの構成、保護や充放電の条件を、一連の設計として考えられます。例えば、採用セルの特性に合わせて使う電圧や温度の範囲を決め、電池側の制限をEMSやPCSへ伝える設計につなげます。
この設計範囲の広さが、機器間の仕様を合わせたり、運用に必要な変更を検討したりする際の基盤になります。変更できる範囲と、その後に必要な試験を明らかにしながら、プロジェクトの条件へ合わせます。BMSとEMSの役割の違いは、『I-10|蓄電所の「頭脳」EMSはなぜ重要なのか――市場運用に合わせて制御を変えられることの価値』で詳しく説明します。

JESDIの視点
高圧向けでは、中汽新能のセルを評価して採用する
JESDIが高圧向けに採用するHOBEの構成では、中汽新能※のセルを使います。同社は中国の自動車大手・中国一汽(FAW)が支配株主となる電池メーカーで、車載用と蓄電用の電池を手がけています。[中国一汽の公式発表](https://wap.sasac.gov.cn/n2588025/n2588124/c33986859/content.html)では、製品開発と量産に加え、自動車・蓄電分野の企業や大学との連携を進めていることが確認できます。
※Lishen(力神)系の動力・蓄電池事業の再編に伴い、旧「力神(青島)新能源有限公司」は[2025年7月に「中汽新能電池科技有限公司」へ社名変更](https://www.xinhuanet.com/energy/20260403/f4d8d5bbeda443ada124c5648abd4ce1/c.html)しました。
[力神の公式会社紹介](https://www.lishen.com.cn/category/about.html)では、天津力神の設立は1997年12月25日とされています。中汽新能は、そのうち動力・蓄電池事業を再編して引き継いだ会社です。中国のリチウムイオン電池事業の初期から培われた研究開発・量産の知見を持つ事業基盤に、中国一汽の産業基盤が加わっています。
供給規模では、[国企誌の報道](https://www.cnsoe.com.cn/zyqy/content_145351.html)によると、2026年1〜3月の電池販売量は計2.96GWh(296万kWh)でした。企業として量産・供給できる基盤と、採用するセルの品質の両方を見て評価します。
HOBEは同社のセル品質を高く評価しています。JESDIは、その企業としての実績と、実際に納入されるセルの検査結果を合わせて確認します。低圧向けは現時点では別の蓄電池を採用する予定で、ここで紹介する中汽新能のセルの情報は高圧向けの対象ロットについてのものです。
「Grade A(グレードA)」は、一般にメーカーが所定の品質基準を満たすと判定したセルを指します。世界共通の不良率を表す表示ではないため、誰が、何を測り、どう判定したかを見ることが大切です。
HOBE向けの対象2,500セルは、メーカーの資料で全数がGrade A(A5)とされ、一つひとつの出荷検査記録があります。定格容量を100とすると実測は約107〜108。容量のばらつきも平均から約0.6%以内です。一定の容量があるだけでなく、多数のセルの容量がそろっていることを確認できます。
実測値の余裕が、そのまま売電量や寿命の増加になるわけではありません。実際に使える電力量は、充放電の設定や機器の損失も含めて決まります。数値の読み方と中汽新能の実績は、『I-09|その蓄電池は、どこのセルか――20年使う蓄電所でセル品質を確認すべき理由』で詳しく説明します。
セルの設計を、蓄電所全体の動作へつなぐ
蓄電所では、蓄電池の中身と、外側の機器の条件を合わせる必要があります。PCSは、電池が蓄える直流と電力系統の交流を変換する機器です。受変電設備は、電力系統との接続を支えます。電圧、通信、出力、安全に停止する条件まで合わせて、システムとして動かします。
上奈良蓄電所では、HOBE ENERGYが蓄電池・PCS・EMS・受変電設備を一体設計・一括供給しました。機器と制御をまとめて確認できることは、設計時の調整や、不具合の原因調査を進めるうえで役立ちます。
JESDIは、HOBEの設備側の設計と、土地、電力会社との接続、施工、保守の条件をつなぎます。セルから考えた仕様を、現場で使える設備にするための仕事です。
JESDIの実践
市場運用に向けた調整を、設計段階から進める
EMSは、電池の残量や温度、運用側の指令を踏まえて、設備の充放電を管理します。JESDIは、HOBE ENERGYと市場運用を担うRUTILEAを設計初期からつなぎ、必要な情報の受渡しや制御の条件を合わせます。
セルの特性から決まる使える範囲と、市場運用で求められる動きを早くすり合わせることで、現場で初めて大きな仕様差が見つかることを減らします。自社の制御を把握し、必要な調整と検証を進められることも、HOBEを採用する理由です。
愛荘町のHuawei設備では、EMSを介さない特別な接続設計を実践したこともあります。その後のHOBE案件はEMSを使用しています。設備の特性を理解し、案件ごとに適切な構成を選ぶという考え方は共通しています。
JESDIの実践
上奈良の実績を、次の案件の準備に生かす
[JESDIの2026年6月16日の公式発表](https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000173175.html)では、上奈良蓄電所のコミッショニングは4日、市場参入試験は1日でした。コミッショニングとは、現地で機器の接続や動作を確認し、設備を立ち上げる工程です。
この日数は現場での作業・試験についての実績です。受電は3月27日、運転開始は6月16日であり、受電から5日で運用を始めたという意味ではありません。
JESDIは、この案件で得た接続・試験・調整の経験を、次の設備と工程の準備へ生かします。高圧と低圧を含め、案件ごとの構成や現場条件を確かめて進めます。
導入後も、セルと制御の情報をつないで支える
長期運用では、不具合の原因を調べ、必要な部品を交換し、復旧後の動作を確かめる仕事が生じます。セルやモジュールの記録と、BMS・EMSの運転記録を結び付けることで、どこに問題があるかを調べる手がかりが増えます。
購入時には、保証の対象、交換品の供給、輸送や現地作業の費用、制御を変更する際の対応範囲まで整理します。JESDIはHOBE ENERGY、RUTILEA、施工・保守の担当をつなぎ、設備を維持するための条件を整えます。
JESDIが大切にすること
JESDI WAY
セルを選ぶ力を、蓄電所が働き続ける力へ。JESDIは、HOBE ENERGYのセル選定と機器・制御の設計を、RUTILEAの市場運用、現場の施工・保守へつなぎます。電池の中身から事業の動きまでを一緒に考え、プロジェクトに合う設備を選びます。
結論
HOBE ENERGYの強みは、複数メーカーからセルを選び、モジュール・ラックと自社開発のBMS・EMSまで、一連の設計として考えられることです。 JESDIは、その設計力を、品質確認、機器の接続、市場運用、試験、保守へつなげます。セルの選択から始めて、蓄電所として使えるところまで考えられることが、HOBE ENERGYを採用している理由です。