同じ電池の能力を、市場と時間に合わせて配分する。
蓄電池は、一つの市場だけで使う必要はありません。一次調整力、三次調整力、JEPXなどを組み合わせる運用の考え方を解説します。
この記事でわかること
- 複数市場を組み合わせる意味
- 同じ設備能力を二重に使えない理由
- 充電する時間も運用計画に含まれること
- 制度変更から設備の改修までの連携
- JESDIの既存運用と今後の拡張の考え方
複合運用を理解する
JESDIの視点
一つの市場の単価だけで、事業を考えない
蓄電所には、電気の売買、需給の調整、供給力の確保など、異なる価値を提供する機会があります。
JESDIには、10秒以内の応答などが求められる一次調整力への参入実績があります。その計測・制御・試験を整える技術力を基盤に、各市場の要件を確認しながら取引機会を検討します。
目的は、市場の名前を増やすことではありません。設備が提供できる能力を、時間帯ごとの機会と費用を見ながら使うことです。
JESDIの視点
同じ電池の中に、使える量の限りがある
例えば、ある時間帯に調整力を提供する約束があるとします。その能力を、同じ時間帯の別の取引にも重複して使えるわけではありません。
また、放電した後は残量が減ります。次の取引に備えて充電する時間と費用が必要です。出力の上限だけでなく、使える電力量や充電の条件を合わせて計画します。
複合運用は、各市場で想定した最大収入を並べて足す計算ではありません。一つの設備で実行できる計画にする必要があります。

一次調整力を活用し、ほかの機会を組み合わせる
一次調整力では、周波数の変化に応じて動ける出力と残量の余裕を確保します。その条件を守りながら、別の時間帯や提供できる範囲で、ほかの商品を検討します。
JEPXでの売買では、価格差に加えて、充放電のロスや費用を考えます。三次調整力②などでは、その商品に求められる応答や継続する能力を満たす必要があります。
商品ごとの条件は同じではありません。入札する時間の単位と、指令に応答するまでの時間、出力を維持する時間も分けて確認します。[電力需給調整力取引所の商品説明](https://www.eprx.or.jp/outline/outline.html)
残量を戻す時間も、収益を支える時間
放電して売上を得る時間だけを見ていると、その前後に必要な充電を見落とします。
いつ、どれだけ充電し、次の取引に必要な残量を揃えるか。連続した取引の中で、出力と電力量の制約を満たすか。充電する費用も含めて、手取りを考えます。
JESDIは、RUTILEAの計画とHOBE ENERGYの設備条件を合わせます。残量を示すSOCや、劣化に伴う使える容量の変化も、運用へ反映する必要があります。
運用を広げるほど、設備とのすり合わせが必要になる
新しい商品に対応する場合、入札の方法だけを変えれば済むとは限りません。出力の制御、計測、データ、試験や登録の確認が必要になることがあります。
JESDIでは、RUTILEAが運用の要件を整理し、HOBE ENERGYが設備やEMSの制約と改修を確認します。JESDIが投資条件と工程を含めて調整します。
設計初期から設備と運用側をつないでおくことは、最初の参入を支えるだけでなく、その後の変更にも役立ちます。
JESDIの実践
市場の変化を、実際の設定へ届ける
募集量や価格の条件、取引ルールが変われば、運用の組み方を見直す必要があります。
RUTILEAが市場の状況を踏まえて戦略を検討し、HOBE ENERGYと実装や設定変更、必要な検証を進めます。JESDIは、その変更が設備・工程・投資家への説明にどう関わるかをつなぎます。
情報を早く知るだけでなく、実際の動きへ反映できる体制が重要です。戦略と設備の間に距離があると、せっかくの判断を実行するまでに時間がかかります。
実施済みの運用と、これから広げる範囲を分ける
JESDIの既存高圧案件では、一次調整力への参入実績があります。関西エリアの一部蓄電所ではJEPXや三次調整力②も実施し、対応を広げています。
ただし、すべての案件がすべての商品で同じ運用をしているわけではありません。設備と登録の条件、地域、市場の状況に合わせて判断します。
複合運用の価値は、必ず収入が増えるという約束ではなく、設備の制約を守りながら、選べる運用を検討し続けられることにあります。
JESDIが大切にすること
JESDI WAY
市場の変化を知り、運用を考え、設備を動かす。その一連の仕事をつなぐ。JESDIは、RUTILEAの戦略とHOBE ENERGYの制御を結び、同じ蓄電所をどう働かせるかを継続して見直します。
結論
複合運用は、限りある出力と電力量を、市場ごとの義務と時間帯に合わせて配分することです。 JESDIは、設備と運用を一体で考え、制度や市場の変化へ対応する体制をつくります。最初の収益化から、その後の運用の広がりまでをつなげて考えます。
