通信の遅れに向き合い、次の確認を動かす。
愛荘町蓄電所は、受電から55日で一次調整力へ参入しました。受電後に何を行い、市場運用へつないだのかを時系列で紹介します。
この記事でわかること
- 愛荘町蓄電所の概要と55日の意味
- 受電後に行った確認と市場参入準備
- 通信工事の遅れに対して取った対応
- メーカー・運用側・JESDIの連携
- 後続案件へ生かす工程管理の考え方
愛荘町蓄電所を理解する
4MWhの設備を、市場で働く蓄電所へ
愛荘町蓄電所は、滋賀県の関西電力送配電エリアにある、出力2MW・容量4MWhの案件です。Huawei製のコンテナ型蓄電池を採用しています。
2025年11月4日に受電し、12月29日に需給調整市場の一次調整力で取引を開始しました。日付差は55日です。[JESDIの愛荘町蓄電所の発表](https://japan-energystorage.co.jp/news/滋賀県愛荘町蓄電所の需給調整市場での取引開始/)
HOBE ENERGYを採用した後続の上奈良・七本木とは、設備の構成が異なります。それでも、運用を見据えた準備と関係者の調整が必要である点は共通しています。

JESDIの視点
受電は、大きな節目であり途中でもある
受電後には、設備を立ち上げ、充放電や通信・制御などを確認するコミッショニングを行います。さらに、一次調整力への参入に必要な試験とデータ取得、審査や契約の準備が続きます。
愛荘町では、受電後およそ4日間でコミッショニングを完了し、一次調整力の試験は1日程度で実施しました。審査合格の通知は受電後およそ1か月で受領し、その後の手続きを経て12月29日の参入へ進みました。
55日という期間の中には、現場の作業だけでなく、審査と取引へ向けた準備が含まれています。
通信工事を待つと、試験も待つことになる
この案件では、通信に関わる工事が遅れ、予定した試験の日程に影響する恐れがありました。
通信は、設備の状態を確認し、運用側と接続して試験を進めるために必要です。工事が終わるまで何もできないと判断すれば、その待ち時間が次の工程へ重なります。
JESDIはRUTILEAと連携し、別途通信機器を手配して、先に進められる試験を実施する方法を取りました。
JESDIの実践
代わりの機器を、誰が決めて、誰が用意するか
RUTILEAが、代替する通信機器に必要な仕様を明確にします。JESDIが手配を進め、設備側と試験・確認の条件を合わせます。
重要なのは、通信工事の担当へ完成予定を尋ねることだけで終えなかった点です。何があれば次の確認を進められるかを、運用側と設備側で具体化しました。
もともとの工事と、代替機器を使って先行できる確認を分けることで、全体への遅れの影響を抑えました。
現場の工夫が、審査へ渡す準備につながる
試験を先行する意味は、現場で作業を済ませることだけではありません。取得するデータや確認の結果を、次の審査へつなぐことにあります。
機器が揃う日、試験を行える日、必要な資料を渡せる日を別々に見ていると、間に待ち時間が生まれます。JESDIは、その関係を確認しながら工程を進めます。
RUTILEAは、市場参入を見据えたシステムや制御、必要な機材の検討に関与しています。運用側の知見を設備の立ち上げへ使うことが、この案件でも重要でした。
JESDIの視点
愛荘町で得た知見を、後続案件の準備へ生かす
愛荘町は、関西電力送配電エリアのHuawei製2MW・4MWhの蓄電所です。東京電力パワーグリッドエリアのHOBE案件とは、設備も手続きの条件も異なります。
ここで得た、通信の準備を早く確かめること、遅れが見えたら代替策を考えること、設備側と運用側を一緒に動かすことという知見は、後続案件にも生かせます。
現場ごとの条件に合わせながら、問題の発見と判断を早くする。その積み重ねが、運用開始までの速さを支えています。
設備の特性に合わせ、接続構成を設計する
滋賀県愛荘町のHuawei製蓄電システムでは、JESDIがRUTILEAと連携し、通常は間に置くEMSを使わず、RUTILEA側から蓄電システムへ直接接続して動作させる設計を実践しました。
狙いは、通信や制御の受渡しの回数を減らして構成を簡略化し、エラーの抑制と、異常が起きた際の原因の切り分けをしやすくすることです。接続の方法を既成の形に当てはめるのではなく、実際の設備と運用の条件から組み立てました。
これは愛荘町のHuawei設備に対する個別の設計例です。その後の案件ではEMSを使っています。EMSを省くこと自体を標準とせず、設備の特性と必要な機能を理解して構成を選ぶところに、JESDIの電力・制御に関する知見が表れています。

JESDIが大切にすること
JESDI WAY
待っている仕事の先に、今進められる確認を見つける。愛荘町では、通信工事の遅れに対し、RUTILEAと必要な機器を具体化して試験を先行しました。JESDIは、問題の発生から次の行動までをつなぎ、収益化への工程を動かします。
結論
愛荘町の55日は、受電後の設備確認、試験、審査、市場参入をつないだ実績です。 JESDIの役割は、予定を管理するだけでなく、予定が動いたときに実行できる方法をつくることにもあります。その経験を、次の蓄電所の立ち上げへ生かします。