設備・施工・市場運用を、初期段階からつなぐ。
上奈良蓄電所は、受電から81日で運用開始へ。コミッショニング4日+市場参入試験1日を含む、立ち上げの実例を紹介します。
この記事でわかること
- 上奈良の工程と81日の意味
- 統合システムと5ft構成の採用
- 1日の遅れが大きく波及する工程管理
- 4日+1日と試験時間の違い
- 七本木との並行開発から見える再現性
上奈良蓄電所を理解する
JESDIの視点
設備の統合を、実際の市場参入へ
上奈良蓄電所は、埼玉県熊谷市にある出力2MW・約5MWhの蓄電所です。2025年12月1日に着工し、2026年3月27日に受電、6月16日に運用を開始しました。
HOBE ENERGYの5ftコンパクト型統合システムを採用し、RUTILEAが運用を支援、施工会社とJESDIが開発を進めました。受電から運用開始までの日付差は81日です。[JESDIの上奈良蓄電所の発表](https://japan-energystorage.co.jp/news/2026-06-16-01/)
この案件は、設備を一体で設計することと、その設備を現場で立ち上げ、市場へつなぐことを実行した事例です。
本案件は東京電力パワーグリッドのエリアです。関西電力送配電エリアの愛荘町とは手続き・確認条件が異なるため、案件の条件に合わせて工程を管理しています。

受電目標から、機器と工事の予定を合わせる
電力会社との協議で受電の見通しを確認し、基礎、搬入、配線、安全確認、電力会社側の工事を逆算して組みます。
クレーンや職人、電力会社の工事は、それぞれ手配に時間が必要です。現場の一つの作業が1日遅れた場合でも、次の工事枠を取り直すことで、全体が大きく後ろへ動く恐れがあります。
JESDIは、その関係を関係各社で共有し、週次の課題確認と個別の調整を進めました。目の前の作業の完了だけでなく、その日程が次の相手にとって何を意味するかを合わせます。
5ft構成を、搬入と設計へ反映する
上奈良では、HOBE ENERGYの5ftコンテナを使った構成を採用しました。小型化によって、搬入車両や揚重、現地の配置を検討しやすくなります。
ただし、箱の大きさを変えるだけではありません。基礎、配線、据付の順序、通信などを、採用する構成に合わせる必要があります。
JESDIは、メーカーと施工側の条件をつなぎ、運ぶ・据える・動かすところまでを同じ計画として扱います。
受電前に、試験を進める土台を整える
HOBE ENERGYとRUTILEAは、設計初期から設備と運用の要件を共有しました。EMSとの接続、設定、必要なデータ、試験の方法を準備します。
受電時には、関係各社の立会いと機器・保護の確認を合わせ、次の試験へ移ります。
設備が完成した後で、初めて運用側との接続条件を決める進め方では、ここから新しい調整が始まってしまいます。上奈良では、その準備を前へ持っていきました。

JESDIの視点
コミッショニング4日、市場参入試験1日
上奈良で公表している現場工程は、HOBE ENERGYの設備受入れ・立ち上げに関するコミッショニング4日と、市場参入試験1日です。
試験には、実行やデータ取得を効率化する仕組みを使います。一方、通常の試験に加えて電力会社から異常時の確認が求められる場合もあり、必要な範囲へ対応します。
この現場作業の期間と、受電から市場参入までの81日は異なります。試験が終わった後にも、審査への提出・質疑、契約などの手続きが続きます。
JESDIが把握する他社事例には、受電から需給調整市場での運用開始まで半年以上、あるいは運用開始に至っていないケースもあります。上奈良の81日は、受電前の準備と、受電後の試験・審査対応をつないで進めた実績です。
JESDIの実践
電力会社の確認に、設備と運用の情報をそろえて応える
上奈良と七本木は同時並行で進めた案件です。同じ設備構成を、HOBE ENERGY・RUTILEA・施工会社・JESDIの継続したチームが扱うことで、担当者の知見と習熟度が高まっています。
各案件で電力会社が確認した点や追加質問をQ&Aへまとめ、次の確認に必要な資料や説明をあらかじめ準備します。質問を受けてから一から調べる時間を減らし、設備側と運用側の回答をそろえて、運用開始までを速く進めるための取り組みです。
七本木と同日に、運用を始める
上奈良と七本木は、共通のモデルを使って並行して開発しました。両案件とも2026年6月16日に運用開始しています。
機器と試験の共通部分を使いながら、受電日や現地の条件の違いを管理します。二つの現場の課題を共有することは、片方で得た知見をもう一方の準備へ反映する機会にもなります。
上奈良の実績は、一つの設備を完成させた記録であると同時に、後続へ使えるモデルを実際の運用へつないだ記録です。
JESDIが大切にすること
JESDI WAY
一つの工程の遅れが、どこへ波及するかを全員で理解する。上奈良では、設備・施工・市場運用を初期から結び、現場試験と審査をつなぎました。JESDIは、統合した設備を、統合した工程で市場へ届けます。
結論
上奈良の81日は、受電後の立ち上げと試験、審査・手続きを経て市場参入へ進んだ期間です。 JESDIは、HOBE ENERGY・RUTILEA・施工側の連携を工程へ落とし込みました。共通モデルを実運用まで進めた経験が、次の案件の準備につながっています。